4月から高校生になる。
私は県内私立の女子高へ通うことが決まっていた。
高校から春休みに課せられている大量の宿題も、失恋からのショックを打ち消すように必死でこなした。
気を抜くとバレンタインデーのことばかり思い出してしまい涙ぐんでしまうため、必死で気を紛らわすために勉強した。
そして3月の半ばに私は母親と、母の友人達とシンガポールへ遊びに行くことが決まっていた為、それを楽しみに勉強することもできた。
人生初の海外旅行である。
人生初の海外旅行はシンガポール
旅行当日、成田空港へ向かうため早朝に車で出発した。
家を出て5分くらいの場所で奇跡が。
早朝、朝日が眩しい河原の土手に、見覚えのある後ろ姿が視界に入った。
なんと自転車にまたがった高田くんが、自転車を止め、眩しそうに朝日を眺めていた。
そしてそのすぐ横を、車で通過したのだ。
親もいるし、早朝だし、失恋してるし、一瞬だし、声をかけることはもちろんできなかった。
ただ人生初めての海外に行く日のこの時間、このタイミングで高田くんに会えるなんて、奇跡以外の何ものでもない。
・・・私はまだ、あなたを好きでいても良いの?
・・・どうすればあなたは振り向いてくれる?
こじつけでも良いから、高田くんとの縁を信じていたかった。
そんなことを考えながら、窓から見える朝日に輝く高田くんを見つめていた。
そしていざシンガポールへ。
ここでまた私の生活に大きな変化が加わることとなる。
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