その相手は「高田くん」。
そう。
幼稚園の時に、私に冷たい一言を放った相手。
高田くんという人
小学一年生から同じ学校の同じ学年に「高田くん」という存在がいることは知ってはいたが、5年生で初めて同じクラスになった。
なのでどういう男の子かは全く分からなかった。
5年生で会った実際の高田くんは、色が白く細身で長身。
だけど必要なところに筋肉は付いていた。
無駄なぜい肉はなく、肌がキレイで引き締まっていた。
顔もすごく整っていた。
運動はもちろん出来て、頭もものすごく良かった。
バスケが得意で、足がとても速かった。
低学年の頃から野球を続けてやっていた。
短距離走では県大会の記録を持っていた。
持久走大会でもいつも3位以内には入る。
字もすごくキレイだった。
まるで天が二物も三物も与えたような、そういう人だったので、男の子からも特別扱いをされていた。
皆が「高田くん、高田くん」と崇めていた。
ただ、これまで私が好きになってきた人と決定的に違うところがあった。
それは「穏やか」とはかけ離れていたところ。
高田くんはあまり笑わず、クールで落ち着き払っていた。
何を考えているか分からないようなミステリアスな部分があり、まるで孤高の一匹狼のようだった。
同じ土俵に誰も乗せていないのか、誰も信用をしていないのか、他人との距離をあえて取っているかのようだった。
そして高田くんには強力な目ヂカラがあった。
大きなパッチリ二重にジッと目を見て話をかけられると、こちらがたじろぐくらい強力なのだ。
全てを見透かされていそうで、嘘がつけず、まるでメデューサを見て石になってしまうようなそんな感覚。
そんな、今まで出会ったことのない神秘的な男の子。
それが高田くん。
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