小学5年生になって、クラス替えがあった。
しゅうくんとはまた同じクラスになった。
けれどギクシャクと開いてしまった2人の距離は縮まらない。
視界に入るしゅうくんが、他の女子と楽しそうにしていると、心の中をドス黒いモヤが覆った。
そんな感情を持つ資格は私にはないのに。
恋を忘れるために励んだこと
そんなドロドロとしたマイナスの感情を打ち消すために、私は勉強に励んだ。
何かでアピールできるとすれば、良い成績を取る事だと、その時の私はそう思った。
そして黙々と勉強をしていた。
その時の担任の先生は、テストをする度に「100点が何人いた」とか、「最高得点は〇点です」などを発表した。
そうするとクラスの周りの子たちは、躍起となってその対象を探す。
そしてその相手を一目置くようになるのだ。
周りからとやかく言われない存在になるため、私は勉学の強化という手段に出た。
「勉強ができれば、周りにバカにされないで済む」
そう思った私は、クラスの上位に入るために勉強に励んだ。
そして 、勉強に取組むうちに、次第にしゅうくんへの想いも落ち着いていった。
気まずさが大きく残る中、自分の保身のために終わらせた恋。
しゅうくんに冷たい態度を取り、そして冷たい態度を取られることで、「好き」という感情は少しずつ小さくなった。
本当に少しずつ少しずつ小さくなって、そして無くなった。
そして、ここから長い恋が始まることとなることを、その時の私は知らなかった。
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