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続・番外編 和田先生とのほろ苦い思い出

2.小学生の恋
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高田くんへの想いは益々募る状態で、6年生になった。

 

私の小学校では、3年生の時と5年生の時にだけクラス替えがあったため、6年生のクラスは5年生の時と同じだった。

 

つまり卒業まで高田くんと同じクラスだ。

 

6年生はイベントもたくさんあるので、ワクワクしていた。

突然現れたのはアノヒト

6年生になった4月。

全校朝礼で新任の先生達の紹介がされた。

 

何とその中に、あの、和田先生の姿があった。

 

以前、教育実習で訪れていた和田先生。

 

あの大学生だった先生が、正式な教師となってカムバックしてきた。

 

和田先生が戻ってきたことにすごく驚いたけれど、それ以上に驚いたことがあった。

 

それは、先生が以前身にまとっていた、甘い穏やかな雰囲気が一切無くなっていた。

 

逆にピリリとした空気を醸し出す、一見愛想のない男の人。

 

 

・・・この数年の間に何があったんだろう?・・・

 

 

子どもだった私には何も分からないけれど、きっと教師になる過程で色々な荒波に揉まれて来たのだろうな~と今になれば思う。

 

ただ1度だけ、本当に一度だけ、以前の和田先生が戻ったことがある。

 

 

朝、学校に向かう途中、駅の近くに住んでいた私は、電車通勤をしていた和田先生と遭遇した。

 

 

「きっと先生は教育実習のことなんて覚えてないんだろうな~」と思っていると、先生に声をかけられた。

 

 

おはよう、サイジョウさんだよね?

驚いてただうなずいていると、先生はスーツのポケットから鍵に付いている見覚えのあるキーホルダーを取り出した。

 

そう。

 

先生とお別れの日に渡した、ディズニーランドのお土産、ドナルドのキーホルダー。

 

これ、大事に使ってるよ!

見せてくれたキーホルダーは、ところどころブロンドの塗装が剥がれており、長年使ってくれていることを物語っていた。

 

そして、ニコッと微笑んだ先生は、私の知っている懐かしい優しいイケメンの和田先生だった。

 

 

だけど身近に若めの大人の男性がいなく、免疫がなかった私はうまく言葉が出て来ず、素っ気ない態度をとってしまった気がする。

 

ただ恥ずかしくて先生の顔が真っ直ぐに見られず、うつむくことしかできなかった気もする。

 

 

本当は、先生が私を覚えていてくれたこと、キーホルダーを大切に使っていてくれたこと、声をかけてくれたことがとても嬉しくて心臓がバクバクしていたのに。

 

うつむいていたけど、耳まで真っ赤になっていたのは間違いなかったと思う。

 

 

 

それから何度か和田先生とは学校ですれ違い、挨拶をしたけれど、それまでだった。

 

会っても話が弾むこともなく、素っ気ない態度ばかりとっていたため仕方はないけれど。

 

先生もきっと、この子変わっちゃったな・・・と思っただろうな。

 

そして卒業まできちんと話すことはなかった。

 

 

その後の和田先生について風の便りで聞いた話だけれど、和田先生は私が卒業した何年後かに、同じ学校に勤めていた歳上の女性と職場結婚し、異動となったらしい。

 

今となっては淡い良い思い出。

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