前回の話の続きです。
小学校時代のこと。
小学3年生になり、初めて男の子に「好き」という感情を抱いたのを今でも覚えています。
その子の名前は「たくちゃん」。
初恋相手の名前は「たくちゃん」
たくちゃんは、普段はかなりぼーっとしていて頼りない。
どのくらい頼りないかというと、
「あのね〜〜〜、えーーーっとね、ぼくね〜〜〜」
と話している間に、周りの子がいなくなってしまうくらいおっとりしていた。
顔も特別カッコイイわけではない。
ただ、とにかく穏やかで優しかった。
そして体育の授業になると、人が変わったように輝きを放つ。
足がものすごく早い。
バスケも上手い。
そのギャップに射抜かれた女子は多かった。
いつの時代もギャップは大切なんだな〜と今になってつくづく思う。まさにギャップ萌え(´∀`*)
初めての恋する乙女のバレンタイン
ある日、女の子同士5人で遊んでいた時に、好きな人をお互いに教え合うことになった。
なんと!
そこにいた5人全員が、たくちゃんのことを好きだった。
他にも何人もクラスにたくちゃんのファンはいたらしく、次第に「たくちゃんはみんなのもの」というルールができていった。
3年生で迎えるバレンタインの日。
告白もチョコレートも抜けがけは禁止となり、たくちゃんを好きな人が集まって、みんなでたくちゃんにそれぞれチョコレートをあげた。
空気の冷たい2月の夕方。
風も強い川原の土手。
たくちゃんは恥ずかしそうにテレながら、自転車で現れた。
その場に集まった女子達にチョコを渡されると、お礼を言って、パンパンになったリュックを背負って去っていった。
残った女子達は興奮冷めやらぬ様子だった。
私は、チョコレートを渡せたことは嬉しかったけど、たくちゃんのリュックではどれが誰のチョコか分からないんだろうな〜とぼんやり思った。
人生で初めて、好きな男の子のために選んだチョコレート。
でも私がそのチョコレートを渡したことをたくちゃんは知らない。
・・・好きな人は簡単に人に言うもんじゃない。
そう心に決めた小3のバレンタイン。
忘れられない問いかけ
それから、月日の流れとともに自然にたくちゃんへの気持ちは落ち着いて行った。
未だに覚えているたくちゃんとの会話が一つだけある。
掃除の時間が終わり、机とイスを元の位置に戻そうとしている中での会話だった。
「みくちゃんって、おならしたことある?」
突然たくちゃんに聞かれた。
「人間なんだからあたりまえでしょ?」
そう答えた。なんて可愛げの欠けらも無い答え。
そしてしばらくたった後に、家でこのことを母に報告すると、母は笑ってこう言った。
「たくちゃんは、みくがおならをするような子に見えなかったんだね。もしかしたら、少し好きの気持ちがあったんじゃない?」
私にはそうは思えなかった。
ただ、あの質問に対して、どう答えれば男子の心をグッと掴めるのか、30歳を過ぎた今でも謎のままです。
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