3.中学生の恋

中学2年生のバレンタインデー

目安時間 7分

来年は高校受験一色。

 

そして受験が終わればもう皆と離ればなれ。

 

この胸に秘めた思いを、何とかして本人に伝えたい。

 

来年以降の未来を考える時間が増えていくと、時間が経つにつれ、そう思うようになっていった。

 

付き合うとかは全く考えておらず、ただこんなに好きなんだということを本人に知ってもらいたい。

 

ただそう思うようになった。

決戦はバレンタインデー

受験勉強が始まったら恋愛なんかにうつつを抜かしていられない。

 

そして何より、高田くんに変な思いをさせて受験勉強の妨げになりたくない。

 

そうなると、動けるのは2年生のうち。

 

そこで決心をした。

 

 

バレンタインデーに動くと。

 

 

バレンタインデーに高田くんにチョコを渡すしかないと。

 

 

誰にも想いを打ち明けていないため、友達の力は借りられない。

 

となると、直接家に行くしかない。

 

それしか思い浮かぶ方法はなかった。

 

偶然にもよっくんと高田くんの家が近かった。

 

今年はよっくんと高田くんだけにチョコをあげることに決めた。

 

買うチョコレート、高田くん家までの道、インターフォンを鳴らした時に親が出てきた場合の受け答え方について何度も何度もシュミレーションを繰り返した。

 

これでバッチリ。

 

あとは本番を待つのみ。

 

ドキドキのバレンタインデー当日

そして迎えたバレンタインデー当日。

 

誰かと道ですれ違っても、なるべく顔が割れない方が良いため、完全に暗くなってから決行した。

(正確に言えば、これから自らが行おうとしていることに、緊張しすぎて足が動かなかった)

 

今日というチャンスを逃したら後がないことを、私自身が一番よくわかっている。

 

自分によく言い聞かせて家を出た時には、完全に辺りは暗くなっていた。

 

時間は夕方6時半くらいだった気がする。

 

シンとした冷たい空気の中、自転車にまたがり、家から10分ほどの距離にある高田くん家に向かった。

 

家の前に着くといきなりライトがついて慌てふためいた。

 

人感センサーが反応したのだけれど、誰かが出てきたのかと思ったからだ。

 

インターフォンを押そうにも、指や足がふるえて押せない。

 

 

どうしよう・・・。

やっぱり帰ろうか・・・。

ここまで来てそれはないでしょ!

 

 

私の中で2つの人格が言い争うのを感じた。

 

深呼吸をしてインターフォンに指を置く。

 

 

・・・・・・やっぱり押せないっ!!

 

の作業を15分くらいは繰り返した。

 

そしていよいよ運命の時。

 

 

「ピンポーン」

 

押した!!
(内心は「押してしまった!」に近かった)

 

心臓の音が痛いくらいに聞こえる。

 

親御さんが出た時のセリフを頭に思い浮かべる。

 

「ガチャリ」

 

インターフォン越しに誰かが出るのではなく、いきなり玄関のドアが開いた。

 

そして見覚えのある服がチラリと見えたかと思うと、ドアから姿を現したのは高田くん本人だった。

 

「!!!???!!!???」

 

想定外の出来事に、パニックになると同時に頭が真っ白。

 

用意していたセリフや色んなものが一気にふっとび、驚いた顔の高田くんを前にして、私は金魚のように口をパクパクさせるだけだった。

 

 

高田くんも想定外だったのか、目がまん丸になっていた。

 

私「あの、これ。今日、バレンタインなので」

 

チョコを差し出す。

 

高田くん「あ、ああ」

 

私「それじゃ」

 

高田くん「あ、ああ」

 

私は去ろうとして、一言付け足す。

 

私「あの、このことは他の人には内緒でお願いします」

 

高田くん「分かってる」

 

私「じゃ」

 

・・・

 

自転車で猛スピードで去った。

 

 

ヤバイ。

 

伝えたいこと、何も言えなかった。

 

人生で「恋」というものに生まれて初めて使った「勇気」。

 

こんなに緊張したことがこれまでになく、自分が自分ではないようだった。

 

妙に世界がフワフワした。

寒いのに身体はちっとも寒くない。

 

その後、フラフラになりながらよっくん家へ。

 

よっくんが出てきてチョコを渡しながら重大なミスに気がつく。

 

・・・渡すチョコを間違えた・・・。

 

よっくんに中学生にしては高級なチョコを渡し、高田くんには何の変哲もないチョコを渡してしまった!!!

(ごめん、よっくん)

 

ヤバイ・・・。

 

ある意味、蒼白。

 

 

こうして、私のほろ苦いバレンタインデーが終わって行った。

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